コラム

COLUMN
Vol.2

オンライン会議でのファシリテーション

2022/01/01

ファシリテーション研修をオンラインで行う機会が増えています。ブレイクアウトルームを用いてロープレも実施します。
「通常の会議」と「オンライン会議」、ファシリテーションのスキルに共通することは多々あります。しかし一方で、「オンラインならではのポイント」があるのも事実。本コラムでは研修場面で実感したことを、3点お伝えします。
1.冒頭の仕切りの重要性
ある進行役は、「早速検討しましょう」と、すぐにテーマの検討を開始しました。最初は意見が出ましたが、すぐにトーンダウン。論点も曖昧なまま進みました。
別の進行役は、「今日の会議の目的は・・・、ゴールは・・・、検討の順序は・・・」と3分ほど一方的に話しました。「まどろっこしい」と感じる受講者もいたでしょう。しかし、開始後は皆が足並みそろえて議論できていました。
「会議は最初の3分のマネジメントが重要」と伝えています。特にオンラインでは重要です。対面であれば、場の雰囲気を受けて柔軟に進行できます。しかし、オンラインでは最初に会議の道筋をしっかりと示さないと、参加者は迷います。
2.PULL型よりもPUSH型
ある進行役は、「皆さんどう思われますか?(待つ)」など質問を投げかけていました。進行に慣れている感じでしたが、結果としては微妙な間と沈黙。受講者は「自分が話してよいのか?」という気持ちだったのではないでしょうか。
別の進行役は、「まずはAさんから順番にいきましょうか」と指名質問。一通り発言した後は、自発的な発言につながり、場は盛り上がっていました。
ファシリテーションのスタンスとして、「PULL型(自発的な発言に場をゆだねる)」と「PUSH型(指名質問などで場をリードする)」があります。オンラインでは「話者交代」が困難なので、最初はPUSH型で進行役が仕切った方が、結果として受講者は自由に発言ができます。
3.グランドルールの重要性
ある進行役がロープレの頭でこう伝えました。「ぜひ積極的に発言をお願いします。シーンとなるのが怖いので(笑)。意見がある人はどんどん手を挙げてもらえますか」。そのチームは、とても活性化した話し合いがなされました。
グランドルールとは、「会議をよりよく進めるための約束事」です。この例では「積極的に発言」に加え、「意見がある人は手を挙げる」。これはオンラインでは有効です。
オンライン会議は、「皆で良い場をつくる」が鉄則。参加者は「意見を言わない」ではなく「言いにくい」。よって、はじめに参加ルールを明確にすることは大切です。
オンラインならではのファシリテーションのポイント、様々なノウハウが現場から生まれています。研修の場を通じて、受講者の方々とノウハウを積み上げていきたいと思います。

Editor Info.

名古屋支社長
エグゼクティブコンサルタント

西田 直史

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