コラム

COLUMN
Vol.16

フラクタル。

2022/08/11

学生時代、数学科の友人が「ワープ」と「フラクタル」について話していたのを覚えている。数学って、足し算や掛け算だけではないのだと。ワープは言葉としては聞いていたが、フラクタルは初耳でした。その時は、不規則なもののようでも、規則性がその中から見出せるとか何とか。日常にもそれを観察することができ、煙のもやもやもフラクタルで説明できるとかなんとか。当時はふーんと聞いていただけで、曼荼羅なんかもそうなのかなぐらいに考えていたが、その後時折このフラクタルという言葉を耳にしています。
フラクタルの定義は様々あるようですが、
「どのように分解してもその部分が元の全体と同じ形を備えていて、微分が不可能な図形」
「自己相似性という特殊な性質を有する幾何学的構造。図形の全体をいくつかの部分に分解していった時に全体と同じ形が再現されていく構造」
と説明されています。うーむ。
 例としては、リアス式海岸や、ロマネスコ・ブロッコリー(とんがったブロッコリー)が上記煙のほかに挙げられているようです。最近では、東京オリンピックで大きく採用された、フラクタル日除けなどに活用されているそうです。木陰は涼しいですね。その応用だそうです。

 フラクタルは、音楽や金融工学の分野でも研究されているとのこと。そうなると、いわゆる経営や人に関しても何かしら繋がりをもって考えられているのでしょうか。
 好調なビジネスを展開している企業では、対象となるマーケットの社会システムと、自社のシステムがフラクタルな関係になっているのではないかと指摘している人もいるようです。マーケットの変化に企業も対応できなければ、その企業はうまく立ち行かないとすると、マーケットのシステムと自社のシステムがフラクタルな関係であることで、その変化に対応できると考えられるのでしょうか。マーケットの状況を自社で再現できたり、正確に認識できたりするということなのでしょう。

 複雑なもの、一見法則のないものを解釈するためにこのフラクタルを考え方を援用するのですが、やはり人と人の関係性にも応用できないものかと考えてしまいます。フラクタル日除けのように、完全に日光を遮断しないにもかかわらず、壁で覆うよりも涼しく過ごすことができるようなもの。がんじがらめにせず、人と人との関係性をさらりとさせるもの。1/fのゆらぎが心地よいとされている、そんな心地よい関係ができる法則、そんな考え方が出てこないでしょうか。
 昨日と今日で言っていることが違う、この人は納得しているが、あの人は全く反対意見であるという状況に日々直面しています。経験も長くなってきましたので、耐性はついていますが、混乱はしないまでも人それぞれの意見の違いや変化に考え込んでしまいます。この法則がないことが醍醐味であると言うこともできますが。フラクタルで何かしら説明できないものか。

 先の友人が、煙草の煙を燻らせながらフラクタルを語っていましたが、その後研究は進んでいるのか聞いてみたいと思います。

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毎野 正樹

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