コラム

COLUMN
Vol.11

人材育成会議のすすめ

2022/03/09

人材育成会議とは

人事制度の改定・導入をお手伝いするクライアントには必ず「人材育成会議」の導入をお勧めしています。
人事制度の重要な目的の一つに人材育成があるからであり、マネジャーにおいては自身の人材育成に対するスタンスや日頃の関わりを振り返る場であり、それを磨く絶好の機会であると考えるからです。

「人材育成会議」とは、日時を決めてマネジャーが集まり、それぞれが担当するメンバーについて一人ひとりの情報を個別具体的に交換しながら、能力開発について知恵を出し合う場のことをいいます。ちなみに会議の名称は企業によって異なる場合があります。
「人材育成会議」では、直属の上司(マネジャー)が自分の担当するメンバーについて、以下のような観点で話を進めます。もちろんあらかじめ決められたフォーマットに情報は整理した上で会議に臨みます。
その発表に対して周囲のマネジャーからも質問や意見を交わしながら、今後のメンバーに対する育成的な関わり方を考えていきます。

  ①メンバーの現状(強みや課題)
  ②目指す姿・状態 ※以下2点を踏まえて具体的にしたもの
    1. メンバー自身が希望すること
       やりたい仕事、できるようになりたいこと
       仕事をする上で大切にしたいこと など
    2. 組織・会社からの期待
  ③能力開発のテーマ
  ④付与する役割や仕事
  ⑤マネジャーの支援・関わり  
  など

会議で起こること

基本的には、一人のマネジャーの認識や発想だけでは難しかった、メンバーの現状把握や見立て、育成シナリオ等が複数のマネジャーが協力し合うことで豊かになっていきます。
ただし、そう簡単ではありません。やはり人を理解するというのは難しいことです。
メンバーの何が強みで何が課題なのか、普段の仕事ぶりをよく見ていないとわかりません。
またメンバーが本当にやりたいこと、将来に向けて取り組みたいこととは何でしょうか。これも普段から対話を重ねていないとイメージできるものではありません。
人材育成会議の場面でよくあるマネジャーの声は次のようなものです。

 ・メンバーに「やりたいこと」を聞いたことがなかった
 ・多分、こんなことをやりたいんじゃないかな、と思うけれど本当のところは聞かないとわからない・・・
 ・いつもの1on1では、業務指示ばかりしていたな〜〜

マネジャーとして育成を意識して効果的に関わろうにも、相手を知らなすぎる現実が出てくるシーンであり、普段の対話の質と量があらわになるシーンです。
この現実に向き合った瞬間にメンバー育成に対するマネジャーの認識も高まるため、年に1回この会議を実施する目的の一つともなっています。

経験学習によってビジネスパーソンは成長すると言いますが、メンバーが動機付けられ何か新しいことに挑戦や行動を起こさないことには何も始まりません。
そのためにはメンバーには「やる意味」が要りますし、「勇気」が要ります。
同じチームの目標に向かって頑張ってくれるメンバーにも、それぞれやりたいことややり方などがあるはずです。
付与する役割や仕事にはメンバーにとってどのような意味があるのか、メンバーが内に秘めた欲求とどのように繋がりを持っているのか、「人材育成会議」がそれを考えるきっかけになればと思います。
一方で、「メンバーを育成する」ことの自分にとっての意味を、単に「マネジャーとしての役割」として片付けるだけでなく、考える機会にもなればと思います。

Editor Info.

取締役
エグゼクティブコンサルタント

廣瀬 信太郎

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