コラム

COLUMN
Vol.36

妄想しよう!

2025/01/01

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
年明けのコラムなので、未来についてつぶやきます。

ソフトバンクグループ孫正義社長が昨年10月に開催されたSoftBank World 2024で、ASIが10年後に到来すると述べました。孫さん流の大法螺と笑っておられましたが、超知性の到来がすぐそこまで来ている、そんな期待を感じました。

以前から、AI技術は加速度的に進化しAGI(artificial general intelligence)に到達し、やがてASI(artificial super intelligence)の時代が到来すると言われていました。
ASIは人類の叡智の1万倍の知性と言われております。どんなすごさなのかさっぱりわかりませんが、なんせ人類では解決できない問題をASIがバシバシ解決してくれるらしいのです。

私が10年ほど昔に聞いたときは、2045年にシンギュラリティが到来し、人間の生活を一変させるのだというものでした。
例えば、医療分野での技術革命によって人が若返り寿命が200歳を超える。身体に装着したセンサーとアバター(ロボット)とが一体になり、家に居ながらにして世界中を旅行することが可能になる、たしかこんな内容だったかと思います。
現在、AGIは2029年、ASIは2035年ということで、予測がどんどん早まっている感じです。

ASIが人事領域にどのような変化をもたらすのか、こういうことを妄想するは結構楽しいです。

コロナ禍の真っ只中ですから今から4、5年前に、ピープルアナリティクスという技術が米国の上場企業では実装されていると聞き、とても驚きました。
米国企業でも次の社長をどうやって選ぶかが一番の課題で、日本と同じようにCEOが実績などを基に人事評価で決めていました。その課題に対する打ち手として、一部の企業では最終判断する際にピープルアナリティクスを使っているというのです。

どんな技術かというと、候補者の身体に腕時計型センサー(アップルウォッチみたいな)を付けさせ、バイタルデータはもちろん、訪問や会議などの行動記録、メールのログ、発言内容、実績などをデータ化し、候補者たちのビッグデータを解析することで、次期社長に相応しい人を選定するという技術です。その当時の知見ではビジネスやコミュニケーションのハブになっている人物を登用した方が業績を伸ばすというものでした。
ちなみに、MBAホルダーを社長登用すると業績を下げると言われていましたので、すごいことが起こっていると思いました。

ASIが出現するとピープルアナリティクスがさらに進化し、社員のあらゆる行動、発言、アウトプットをデータ化することはもちろん、将来予測までできますから次期社長の選定も苦労せず行えるのでしょうね。

ASIによって医療が革命的に進化し、人の寿命が延びますので、人手不足はなくなるかもしれません。今でも人生100年、大学に2回通う時代と言われていますから、これからは3回、4回通い、一人の社会人がエンジニアも大学の研究者も政治家も、いくつものキャリアを歩む時代になりそうです。二刀流どころではありません。

人事制度の運用状況や仕組みをエクセルを使って分析し、課題や問題点を特定し、解決策を導き出すなんてことも、一瞬でできるのでしょうね。となると私の仕事の価値がなくなってしまうようでさみしい感じもしますが、10年後は引退していますから、あまり気にしていません。

あれこれ妄想するのは楽しくきりがありませんのでこれくらいにして。
今年はどんな年にしたいですか?3年後、5年後はどうなっていたいですか?どんな会社にしていきたいですか?ぜひお正月だけでも妄想に浸ってみましょう。

なぜ、私が妄想をお勧めするかというと、サピエンス全史を書いたイスラエルの研究者 ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、こう主張しています。
「なぜホモサピエンスがネアンデルタールなどよりも進化し生き延びることができたか?それは、ホモサピエンスは現実には存在しない虚構を生み出す力を獲得したからだ。フィクションを信じ語ることのできる能力があったから」だと。

妄想は我々人類に与えられた特権です。

Editor Info.

エグゼクティブコンサルタント

平田 伸正

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