コラム

COLUMN
Vol.13

定常的業務の目標化 ~日々の仕事は目標化されていますか~

2022/05/09

4月から新年度を迎えた企業では、期初の目標設定が終了した頃ではないでしょうか。

よく言われることですが、目標管理においては「目標設定」がとても重要です。
目標設定を細分化すると
 目標テーマの選択 → 達成基準の設定 → 達成プロセスの確認
となります。管理職研修では「達成基準の設定」に関するご質問をよくお受けします。

達成基準は評価を決定するものですから当然重要なのですが、「目標テーマをどのように選択するのか」は更に重要です。特に、評価制度を新たに設計する際は「目標テーマの選択」について十分な時間を費やして議論すべきです。

ある企業の例をご紹介しましょう。
新人事制度の説明会で社員からこのような質問が出されたそうです。
「目標に書いたことばかりに取り組んで本来の仕事をおろそかにする部下をどのように評価すべきですか?」

え?少し待ってください。
目標と本来やるべき仕事って「別のもの」なんですか…?

お聞きしたところ、この企業では従来このように運用されてきたそうです。
 - 目標とは、改善・企画的な内容でなければならない
 - 目標とは、数値で評価できるものでなければならない
 - 目標とは、挑戦的内容であるべきなので「やって当然」の業務は書いてはいけない
という訳で、工場勤務者が作業指示書に従って進めている日々の業務や、経理担当者が各種手続きを円滑に進めていることは目標化されておらず、業績評価の対象となっていませんでした。

この場合、主として定常的業務を行っている社員は、日々の業務と目標テーマがかけ離れたものになりがちです。そして、設定した目標は「達成出来たら素晴らしい(…けれど実際は目の前の仕事を進めることで精一杯)」という状態が生まれやすくなります。

メイン業務を目標化できないということは、「日々取り組んでいる大半の業務は、自分自身あるいは組織全体の成果に寄与していない」と言われているようなものです。
これは適切な状態とは言えません。

もちろん、定常的業務の外注化・システム化を進めて、目標は企画・改善的な内容に限定する方法もあり得ます。
また、主に定常的業務を担う役割の社員には、目標管理による業績評価を実施せず別手法を採るという選択肢もあります。
そのような対応を取らないのであれば、組織を下支えしていると言うべき定常的業務も目標テーマとして設定し、業績評価の対象とすることをお勧めしています。

目標テーマの設定は、「今期実現すべき成果とは何なのか」を確認するプロセスです。
社員一人ひとりの業務が組織を支えていることを改めて確認する機会にしていただけたらと思います。

Editor Info.

シニアコンサルタント

村山 鈴子

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