コラム

COLUMN
Vol.6

手当の効用

2022/01/01

人事制度の構築では、等級制度が幹であり、従業員の育成や評価が重要であるが、やはり賃金制度が最も関係者にとって興味関心が強いものとなっています。「年収水準はどれぐらいが良いのか?他社との比較は?」「月例賃金の昇給ピッチは?」「賞与原資の決定ロジックは?」等、制度構築のプロジェクトにおいては議論が活発なものとなります。
ところで皆さんの会社では手当はどのようになっていますか?最近ではある程度手当は整理されてあまり支給されていないとも聞きますがいかがでしょうか?
新たに人事制度の構築に取り組むことになり、現状の人事制度を見てみると、数多くの手当が存在し、その目的や意図が不明瞭であるということがしばしばあります。これまでの制度運用において、「こんな辛い仕事だから手当出すべき」「こんな難しいことしているから手当出すべき」「他の人よりお金かかるから手当で補うべき」といった声を反映して今に至るのでしょう。
基本的には全て0の状態から、本当に必要な手当なのかを議論していくのですが、どのような手当であれば効果的なのでしょう。元来手当は全ての人に支給されるものではなく、支給されない人にとっては不満であり、不公平な性格のものです。
本当に特殊?
職務関連手当において、基本給と手当で重複した意味合いで支払われていると見受けられるケースがあります。特殊作業手当や特殊勤務手当など、確かに導入時は特殊であったのかもしれませんが、それならば他の仕事も特殊ということができるかもしれません。特殊ではない普通の仕事って何でしょう。
どの生計費を負担する?
生計費負担の性格をもつ手当では家族手当が最もポピュラーです。ここのところは、配偶者手当の割合を下げ、子ども手当の割合を上げる会社が増えていますが、それでも独身者からすれば同じ仕事をしているのに不公平と感じてしまいます。その昔に家族手当が導入された時と背景が全く異なりますので、改めて家族手当を意味付ける必要がありそうです。会社として、どのような意味を家族手当に込めるのか改めて検討したいところです。住宅費を負担する?ほかに負担すべき新たな要素はありそうでしょうか。
手当は一度支給されると当初はその効用がありますが、次第にそれは薄れていきます。月額で支払うよりも一時金で支払うほうがその効果があるのではないかという考えもあるようです。
手当はやはりどうあっても不公平なものなので、交通費以外はなくしたい、いや交通費が不公平な手当の最たるものだからこれもなくしたい、という意見を多く耳にするようになりました。確かにその方向が間違いではないと思いますし、そんなことよりも個々の能力開発などに資源を使うべきでしょう。また、非金銭的な面にも目を向ける必要があるでしょう。
ただ、実際の賃金の検討場面では手当の改廃について思いのほか時間がかかっていることも事実であります。支給される本人はその価値を感じ、支給されない人も納得できる新たな手当というものが今後出てくるでしょうか。少し楽しみです。

Editor Info.

代表取締役
エグゼクティブコンサルタント

毎野 正樹

STAFF紹介