コラム

COLUMN
Vol.29

目標は数値化すべきなのか?

2024/06/01

「目標は数値化すべき」と言われます。もちろん、目指したい水準を数値で表すことは重要です。ただし、「評価しやすくするために、無理に数値化している」ことはありませんか?

ケース1 電話応対件数
お客様からの問合せ受付チーム。電話が多く忙しい部署なので、メンバー全員が目標として掲げたのが「電話応対件数」。その結果、皆が急いで電話を済まそうとしたり、面倒な電話は積極的に対応しない事態が起きました。皆が目標達成しましたが、お客様から電話応対への不満の声が増えました。

ケース2 改善提案件数
業務品質の向上にむけて「改善提案5件」を目標に掲げた中堅A君。期末までに7件の提案がありました。ただし、内容が今ひとつで、全て実践には至らない内容でした。しかし、A君は「7件提案しました!」と高い自己評価をつけてきました。

ケース3 マニュアル作成
チーム内の業務効率向上にむけて「3領域のマニュアル作成」を掲げたリーダーB君。前向きに取り組み、3領域とも立派なマニュアルができました。しかし、チームの誰も読んでおらず、活用されていません。A君は「3冊とも作成しました!」と自信満々です。

すべてのケース、目標は数値化されており評価はしやすいです。しかし、それが本来の狙いに沿っているかは疑問です。

ケース1は、そもそも「応対件数」が目指したい目標なのでしょうか? 営業などの「攻め仕事」はともかく、受付や事務などの「受け仕事」において目標の数値化は難しいものです。
ケース2は、「提案の質」や「実践」は問わなくてよいのでしょうか? 若手社員に「まずは量(件数)を期待する」目標を掲げることはありますが、中堅社員であれば、質や実践、さらには効果までを期待したいところです。
ケース3は、「マニュアル作成」は手段であり、その先の「周知・活用」さらには「工数削減・ミス削減」を目標として掲げるべきではないでしょうか?

もちろん、目標設定において達成基準を具体化することは重要です。一方で、「本来の業務の狙い」を表現することは、さらに重要です。
評価者研修を行う機会が多いのですが、「目標はとにかく数値化しないと」という呪縛(?)を抱えた方もいらっしゃいます。本来の業務の狙いを表現する目標を、現場管理者の皆さんと一緒に考えていきたいです。

Editor Info.

名古屋支社長
エグゼクティブコンサルタント

西田 直史

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