コラム

COLUMN
Vol.22

直感を伝えるということ

2023/07/01

皆さんは周囲の方との会話の中で、違和感を感じたり、閃いたりしたことを、その場で話すべきか躊躇した経験はありませんか?

「まだ相手が話しているので後にしよう。」「みんな普通に話をつづけているので、違和感は自分だけかもしれない。」「いいアイデアと思ったけど、却下されたら嫌だから、この場では控えよう。」

さまざまな理由を思い浮かべて自分の直感を心の中にしまいこむことが少なからずあるかと思います。

でもそれはあなたからのGiftを、その会話に参加している人がもらい損ねているのかもしれません。

私はコーチの活動もしているのですが、コーチングの資質の中には「直感」があり、大事な考え方の一つに「Dance in this moment(今この瞬間から創る)」というものがあります。

私の解釈としては、ロジックや脈絡がなかろうが、間違っているかもしれなくても、感じたことをその場に出してみて、そこからまた対話を生み出していく、ということだと思っています。

私はこれまで、多くのクライアントに人事コンサルタントとして、人事制度改定や組織開発などのテーマでご支援してきました。

そして若い頃は、Mtgの場ではコンサルタントとしてより適切な選択肢をご提示すること、ロジカルであること、スケジュール内にプロジェクトを進めることを大事にしてきたと思います。

しかし、いくらロジックとして正しくても、生身の人間が形成する組織は想定通りには動きません。人事制度改定できちんと議論できたと思っていたことが、運用場面でなし崩し的になってしまう、といった経験もしてきました。

こういった経験を踏まえて、お客様から何かしら「不安」や「消化不良感」を感じたら、「違っていたら言ってください。議論した結果の案に不安をお持ちのように感じたのです。」と投げかけるように変わっていきました。(数年後にコーチングを学び、我が意を得たり、となったのを覚えています)

この、「直感を伝える」という行為で、今まで出てこなかった違う角度・視点での意見や、運用主体者である人事としての本音が出てきて、本当の意味で目的をぶらさず運用できる人事制度などが形成されていきました。

もちろん、直感は空振りすることもあります。ただしそれは「今回は新たな視点が出てこなかった」だけで、マイナスではないのです。

みなさんも、誰かの気付きになるかもしれないあなたの「直感」を「違ってたらすみません」や「ピント外れかもしれませんが」を枕詞に伝えてみてはいかがでしょう。

その瞬間から何かがうまれ、それが相手にとってのGiftになるかもしれません。

Editor Info.

シニアコンサルタント

小河 泰隆

STAFF紹介