コラム

COLUMN
Vol.19

空の巣症候群

2022/11/09

「空の巣症候群」という言葉をお聞きになったことはありますか?

「子どもが成長し巣立って、巣(家)が空っぽになってしまったことが一種の喪失体験となり、寂しさなどを感じること」だそうです(厚生労働省HPより)。

筆者は小・中学生の子を持つ身ですが、最近、周囲の“ママ友”や同級生の新しいチャレンジを聞くようになりました。
 - 以前やっていた仕事を再び始めた
 - 閉店した店舗のスペースを借りて、特技を生かした教室を開いた
 - 手作り作品をネット販売してみた
 - 資格を取るために勉強を始めた
皆さんきっかけは様々ですが、「子育てが少し落ち着いてきたから」という言葉をよく聞きます。中には「ふと、子どもが巣立ったら私の生活はどう変わるのかな…と考えたら、今から何か始めないと!と思った」と言う方もいました。

むむっ。他人事ではありません。私も、その時に備えないと!と少し焦りを感じながら、「空の巣症候群」という言葉が頭に浮かびました。

ところで、空の巣症候群を「長年熱意を持って取り組んできたことが終了し、喪失感を持つ」という構図で捉え直したら、なにも育児中の方や女性に限った話ではないとお感じになりませんか?

組織で働いていると、異動や長期プロジェクトの終了・役職交代など、「これまでの経験に一度ピリオドを打ち、新しい業務や役割にトライする」という場面はいくつもあります。
中でも役職定年や定年後再雇用のように、長年培った経験や専門性が豊富な方ほど喪失感も大きくなります。ご自身の職務に真摯に取り組んできた方ほど役割の変化に戸惑ってしまうかもしれません。

いずれ、今とは異なる役割を担う時が来る。分かってはいるけど寂しい気もします。日常の慌ただしさに流されて考えないようにしている時もあります。
ですが、どこかで“その時”のことを考え、備えていくことも必要ですよね。

先輩ママさんに、空の巣症候群にどう備えていたのか尋ねたところ
 - 子育ては全力投球。でも自分の時間を100%投入することはしない
 - 子ども関係ではない知り合いを増やす
 - 興味があることは試して、「いつかやりたいこと」の候補を作っておく
 - 「自分がやらねば!」と思っていたことを子どもや家族に任せてみる
とのことでした。
「子育て」を「仕事」、「子ども」を「会社」や「部下」に読み替えたら、仕事上の心構えとしても使えそうですよね。

前向きな先輩を見習って、私もいつかやってくる“その時”に備えていこうと思います。

Editor Info.

シニアコンサルタント

村山 鈴子

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