感動しました。
みなさん、聴かれましたか?あるいは読まれましたか?
イチローさんの米野球殿堂入りのスピーチのことです。ユーモアを交えながら堂々と英語でスピーチするイチローさんの姿、かっこよかったですよね。
人が発する言葉には、意図がある。イチローさんのスピーチに接し、日々意識していることを改めて思いました。
仮の話です。あなたは30歳の会社員。ずっと憧れていた腕時計を3カ月分の月例給与と引き換えに手に入れました。その腕時計を見て、相手が「素敵な時計だね」と言ったとします。
相手が後輩社員だったら素直な賞賛として受けとめるでしょうし、相手が入社以来ずっと指導してくれた上司だったら「君も一人前になったんだなぁ」という感慨が含まれているのを感じるかもしれません。相手が親だったら「浪費していないでちゃんと貯金しなさい」といった皮肉のニュアンスが含まれる場合もあると思います。
書いてしまうと同じ「素敵な時計だね」という言葉でも、それを発する相手との関係性やシチュエーションによって、言われた側が受け取るメッセージは大きく変わります。正しい意図が伝わっていることもあれば、思わぬ受け止め方をされてしまうこともありがちだと思います。家庭内でもありませんか?「そんなつもりで言ったんじゃない」とか、「誉めたつもりなのに相手の機嫌が悪くなった」とか…。要は、自分が意図したものとは異なるメッセージを相手が受け止めてしまった、という状態です。
この仕事をしていると、「経営方針が浸透していない」「上司と部下のコミュニケーションがうまくいっていない」といった課題をお伺いすることが非常に多いです。
1つの打ち手で解決できるような課題ではありませんが、私は、発する言葉が帯びてしまう“意図”をかなり強く意識する必要があると考えています。言い換えると、言葉の選び方や表現テクニックだけでなく、相手が受け止めるであろうメッセージを想像しデザインしましょう、ということです。
意図した通りのメッセージとして相手が受け止めてくれるだろうか?曲解されてしまいそうな箇所はないか?この言葉を発した際に、社員が、部下が、どんなアクションをとってくれたら嬉しいのか?
当たり前のことなんですけれども、コミュニケーションって相手との関係性があってこそ、なんですよね。一周回って、またその当たり前のことを思い知る今日この頃です。
話し言葉だけでなく、文章の場合も同様に相手との関係性を踏まえることが重要ですけれども、不特定多数に向けたSNSのコメントが特に難しいのはご承知の通り。コミュニケーションって、難しいですねぇ…。
イチローさんのスピーチに話を戻しましょう。
私はイチローさんの業績とプロフェッショナルとしての凄みに圧倒されただけでなく、野球を愛し野球に愛されたプレイヤーの、とてつもない長年の鍛錬を支えられたご家族への想い、関係者やファンへの感謝の気持ちが溢れたメッセージに感動しました。
If you consistently do the little things, there’s no limit to what you can achieve.
イチローさんのスピーチ、教科書に掲載して多くの子どもたちに読んでもらいたいです。きっと近い将来、そうなりますよね?早くその日が来てほしいなと思っています。