コラム

COLUMN
Vol.18

若手の離職について考える ~離職理由と防止施策~

2022/10/01

経営者や人事の方から「若手の離職について」の相談がかなり増えたと感じます。改めて、なぜ若者はせっかく入社した会社を辞めることを決めるのかを考えてみたところ、理由が大きく3つ見えてきました。

若手の離職理由

1つ目は人間関係。人間関係とは、上司や同僚など社内以外にクライアントも含みます。その中でも「上司」に起因するケースが一番多いと感じます。上司の仕事の仕方が合わない、理不尽な怒られ方をする、といった声もよく聞きます。また、セクハラやパワハラのような問題をはじめ、コミュニケーションがうまく取れない、職場に馴染めないという理由で離職に繋がるケースもよく聞きます。

2つ目は労働条件・環境です。特に多いのは労働時間が多過ぎることへの不満です。最近では「プライベートの時間もしっかり取りたい」「オンオフのメリハリをつけたい」といったワークライフバランスを重視する若手社員が増えていることも影響していると思います。

3つ目は仕事内容・キャリアに関することです。「入社前に思っていた仕事と違う」「このままこの会社にいて成長できるのか」といった理由で離職するケースもよく聞きます。若手はキャリアが浅いため、自分のやりたい事や適性が分からず悩む社員も多いものです。

では、離職防止のための施策はどんなことが考えられるのか。上記3つの離職理由に合わせたアプローチをご紹介いたします。

離職防止のためのアプローチ

1つ目の人間関係に関するアプローチ。上司や部下、同僚やクライアントなどの人間関係が問題であれば、物理的な距離を取る事が一番です。別の部署に異動させる等です。ただ、いつでもこの方法を取ることは難しいでしょう。根本解決を目指すのであれば、やはりコミュニケーション力やチームワークを高める施策を実施することが考えられます。例えば上司や部下とのコミュニケーションに悩むなら上司の対話スキルの向上や1on1ミーティングを実施することもあるかもしれません。

2つ目は労働環境に関するアプローチ。働き方が見直されている昨今、多様な雇用を支え、より良い働き方を支援するために、従来の日本型雇用や人事制度を見直すことも必要かもしれません。

3つ目はキャリアに関するアプローチ。今後のキャリアアップに悩む背景として、評価制度や教育体制が整っていない事も1つの要因として考えられます。「自分の仕事が評価されているのか」「この職場にいてスキルやキャリアアップができるのか」と不安をもってしまいます。明確な評価制度があると仕事への目標や納得感が生まれるでしょう。もちろん評価制度だけがしっかりしていても運用するのは管理職です。管理職の運用力(マネジメント)の強化も同時に行うことが必要となってきます。

まとめ ~一丁目一番地は~

ここまで社員の離職原因、離職防止のアプローチ方法をご紹介しました。離職を防止し、社員の定着率を向上させるためには、社員の不満をいち早く察知し対策することが大切です。アンケート等で調査することも有効かと思います。しかし、人事に退職したいと声があがってきた時には「時すでに遅し」のケースがほとんどではないでしょうか。本来は部下が上司に相談をしてから会社にあがってくることが望ましいのではと思います。ただ、上司と部下に信頼関係がないと部下から本音の話は出てこないかもしれません。部下が不安や悩みを安心して上司に相談できる、ここが離職防止の第一歩ではないか。つまり、日常を一緒に過ごす上司部下の関係性を良くすることが、離職防止の一丁目一番地ではないかと感じます。

Editor Info.

営業統括部長
シニアコンサルタント

瀬尾 晃

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